「富士山噴火 どこまで逃げられるか」の遊び方と、火砕流・噴石のしくみ
山の形と火砕流の速さは公的な資料のまま、主人公の足だけが「火事場のバカ力」。どこまで逃げられるかを競う、富士山噴火の3Dゲームです。遊び方と、使っている数字の出どころを解説します。


どんなゲーム?
「富士山噴火 どこまで逃げられるか」は、富士山の山頂(剣ヶ峯 3,776m)にいるときに噴火が始まり、御殿場の方へ駆け下りて、どこまで遠くに逃げられるかを競う3Dのブラウザゲームです。倒れた地点の、火口からの距離(km)がスコアになります。
現実には、噴火が始まってから走って逃げることはできません。ゲームでは主人公だけが「火事場のバカ力」で人の何倍も速く走れる、という設定にしています。そのかわり、山の形、火砕流の速さ、噴石の届く距離は、公的な資料の数字をそのまま使っています。主人公の速さだけが作り話です。
遊び方
- 「山頂に立つ」を押すと、山頂で地震が15秒続きます。この間にもう走り出せます。
- 噴火すると、火口から大きな噴石が飛んできます。地面に黒い影が出たら、そこに落ちてきます。影から横へよけてください。
- 噴火の70秒後に、火砕流が火口から流れ出します。時速100kmで後ろから追ってきます。画面左上の「火砕流まで」に、残りの距離が出ます。
- Shift(スマホは「バカ力」)を押している間だけ、火砕流より速く走れます。ゲージが減るので、使いどころが勝負です。
- 火砕流から逃げきったら、灰の降る中を御殿場駅(火口から19.9km)まで走ります。噴火から15分が時間切れです。
パソコンは WASD か矢印キーで走り、マウスのドラッグで向きを変えます。Q で後ろを振り返れます。スマホは画面の左半分でスティック、右半分をなぞって向きを変えます。インストールは要りません。英語でも遊べます(タイトルの「English」)。
しくみ
主人公の速さ(ゲームの設定)
ふだんは秒速22m、バカ力を使っている間は秒速34mです。火砕流は秒速約28m(時速100km)なので、ふだんの足では少しずつ追いつかれ、バカ力の間だけ引き離せます。ゲージは100から1秒に10ずつ減り、ボタンを離している間だけ1秒に6ずつ戻ります。0まで使い切ると、30まで戻るまで使えません。坂を登ると遅くなり、道の上は1.1倍の速さになります。
大きな噴石
大規模な噴火では、大きな噴石は火口から最大4kmまで届きます。ゲームでも4km以内に噴石が降ります。当たるとそこで終わりです。噴石の範囲の中には御殿場ルートの山小屋があり、中に入ると噴石と軽石をしのげます。内閣府の手引き(2015年)に、山小屋に身を隠すと噴石で死傷する危険が減る、と書かれているためです。ただし、火砕流は山小屋では防げません。
火砕流と火砕サージ
火砕流は、高温の火山ガスと岩のかけらが一体になって斜面を流れ下る現象です。ハザードマップでは時速100kmとされています。御殿場の方向では、火砕流の本体は山頂から約7.2kmまで届き、その外側1km(約8.2kmまで)に火砕サージという熱い風が広がります。巻き込まれると、建物の中にいてもほぼ助かりません。ゲームでは、火砕流は谷に沿って少し先に進みます。尾根の方へ逃げると、わずかに時間をかせげます。
溶岩流
噴火の20秒後から、お鉢の縁3か所から溶岩があふれ、地形の低い方へ流れ下ります。溶岩は約1,200℃ですが、流れる速さは人が歩く程度です。現実には、溶岩流が出てから逃げることができます。ゲームでも触れたら終わりですが、遅いので回り込めます。
大砂走り
御殿場ルートの下りには、砂の斜面を駆け下りる「大砂走り」があります。ゲームでは火口から約2〜6kmの砂の上で C(スマホは「すべる」)を押すと、下り坂を秒速31mで滑り降りられます。ゲージを使わずに速く進めますが、曲がりにくくなります。
逃げきった後
火砕流の届かない所まで来ると、熱い軽石(火口から8.5〜14km)が降り始めます。オレンジの輪に入るとよろけて、ゲージが減ります。時間がたつほど空が暗くなり、地面と屋根に灰が積もり、足も遅くなります。
結果の画面
倒れた地点の距離と、陰影図の上に、噴石の範囲(4km)、火砕流(7.2km)、火砕サージ(8.2km)の線と、走った跡が出ます。現実の数字との答え合わせとして、たとえば「御殿場ルートの下りは、人の足では8.4kmで約3時間30分」が並びます。結果は X に投稿したり、文をコピーしたりできます。
地図と町のデータ
- 地形は、国土地理院の標高タイル(5mと10mのメッシュ)を加工して作りました。山頂から御殿場駅までの帯と、その周りの山々です。
- 御殿場の町には、国土交通省の3D都市モデル(PLATEAU)の御殿場市の建物18,279棟を、平面の形と高さのとおりに建てています。
- 登山道と道路は OpenStreetMap(ODbL)です。
- 主人公、山小屋、噴石、木は Blender で作りました。
本当の噴火のときは
このゲームは、噴火の怖さと距離の感覚を知るためのものです。実際には、走って逃げることはできません。富士山に登るときは噴火警戒レベルを確かめ、気象庁と自治体の情報に従ってください。噴火の前に山を下りることがいちばん大切です。
出典
- 富士山ハザードマップ(改定版)報告書(富士山火山防災対策協議会、2021年):火砕流の速さ、火砕サージ、大きな噴石の範囲、溶岩の温度
- 富士山ハザードマップ検討委員会報告書(2004年):火砕流に巻き込まれたときの被害、噴煙柱の高さ
- 富士山火山避難基本計画(2023年):溶岩流の速さ
- 内閣府「活火山における退避壕等の充実に向けた手引き」(2015年):山小屋への退避
- 内閣府「火山防災マップ作成指針」:噴石の初速
- 富士登山オフィシャルサイト:御殿場ルートの距離、時間、山小屋の標高
- 国土地理院 標高タイル、3D都市モデル(Project PLATEAU)御殿場市(国土交通省)、© OpenStreetMap contributors
主人公の速さ、火砕流が出るまでの時間、大砂走りの広さ、灰で遅くなる割合は、ゲームとしての設定です。